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徒手療法における人体の捉え方3

重心の偏りは精神的にも負荷となり、常にじっとしていられないとか、逆に外に出ることがいやになってしまうような状態におちいる場合もあります。
常にじっとしていられないのは、おおまかに重心が固着してしまうために自由度を取り戻そうと脳神経系が過剰な反応を起こす場合と、重心位置が不安定なため安定のある場所を探そうとする場合があります。
逆に引きこもりがちになるのは、重心を動かすことに違和感を感じるため、なるべく一定の状況に心身をおきたくなってしまうために生じやすい状況です。この場合、重心の動きに追従することに対して疲れ果ててしまう場合や、コミュニケーション時に重心位置が安定しないためにコミュニケーション自体を避ける傾向が生じる場合です。端的に言えば、外環境に対して柔軟な重心移動をすることで自己を自己たらしめると言う機能がうまく働かなくなってしまっている状況と考えられます。
いわゆる、「肝が据わった」状態にならないと言うことです。
東洋医学では「肝」とは、単に肝臓を指すのではなく、「血の宿るところ」とされており、魂が存在する場所とされています。そのため意志や根気に関係し、肝に問題があると持久力がなく、些細なことで動じやすく、優柔不断で怒りっぽくなるとされています。また、肝は「血」との関係上、筋肉と関連があり、肝が衰えると身体も思うように動かすことができなくなると言われています。東洋医学では肝は人体のほぼ中央に位置してここが安定していると人間として充実している状態にあるとされます。いわゆる「肝が据わった」人間ということですね。この「肝」の部分よりもう少し下を据えると「腹が据わった(腹を括った)」状態になると言われています。
重心の自由度というと、重心自体がふらふらしているようにイメージされる方もおられるかもしれませんが、重心に自由度があり、安定していることで、外環境のいかなる変動にも柔軟に追従でき、自己を乱されることがありません。これがもっとも理想とする状態ですが、世の中は無常ですので、そのような状況も長くは続きません。
このような治療は、人体の持つ外環境への適応力(カイロプラクティックではイネイトインテリジェンスと言います。)が十全に機能する状態に持っていくことが主眼ですので、特定の病態に対する治療とは根本的に異なるわけです。
従来の徒手療法などでは、自然治癒力を活性化させるというような表現をしている場合もあります。これは一概に間違いとは言えないのですけれども、実際は問題を起こしているのも外環境への適応力ですから、なんらかの原因で適応が固着して自由な適応ができなくなってしまったシステムの作動を治療によって一旦破棄させることで、人体の適応力が即座に新たなシステム作動を再構築するという過程をたどるわけです。
当然ながら、この治療方法は人体の適応力が健全な状態でなければなりませんので、人体内部でなんらかの破綻がある場合には機能できません。
現代医療はこのような状態に対しては、非常に強力な治療方法を持っております。
現代医学では、先に述べました通り、人体を複数のシステムに分けて、循環器系とか、脳神経系とか、消化器系とか、筋骨格系いう形で、それぞれのシステムに対しての治療を行います。それぞれの系(システム)が破綻している場合、それに対する介入能力は現代医療の右に出るものはありません。
しかしながら、人体全体を一つのシステムとして介入する場合、カイロプラクティックは大きな力を発揮できます。