昨今、糖質制限というものが脚光を浴びていますが、いくつか疑問点があります。
糖質制限を推奨する方々には、人間はそもそも肉食動物だと言われたりします。
原初の時代ではカエルなどを手づかみで獲ってそのまま食べていたとか、昔飢饉などで死んだのは、肉食が禁じられていたせいで山などに行けばいくらでも動物が獲れたはずだとか・・・いずれもちょっとおかしい気がします。
O-157など肉を生で食べただけで死んでしまうような消化機能しかない人間が果たして肉食でしょうか?肉食動物は腐った肉を食べても全く大丈夫です。
また、飢饉で人が死ぬのは冬になって食糧がなくなるからであり、雪深くなってから獲物を獲るのは至難の業であるのは自明でしょう。
歯の形や顎の力を見ても、人間が肉食とはなかなか思えません。そもそも、肉食のサルというものも聞いたことがありません。せいぜい、雑食というところではないでしょうか。
よく糖質制限を推奨する方々の中には、糖は身体を作る成分ではないという者もいますが、人体には、糖鎖というものがあります。糖鎖はそもそもグルコース(ブドウ糖)やガラクトースといった単純な糖のユニットいわゆる単糖が、「グリコシド結合」とよばれる化学結合によってつながったものでできており、それらが血液型の違いや糖脂質や糖タンパクなどを形成することで、タンパク質や脂質がもつ機能を高める、寿命を変化させる、輸送能を向上させるといった変化をもたらし、細胞の接着、移動、発生、分化、増殖、アポトーシス(細胞死)、感染、免疫といったさまざまな生命現象が円滑に営まれるようにはたらくと考えられています。
https://www.natureasia.com/ja-jp/jobs/tokushu/detail/5
このようなことを考えると、人体の形成維持において糖質は不可欠な存在ではないでしょうか。
また、赤血球は糖質しかエネルギー源にできませんが、Wikiによれば、・・・数は血液1µLあたり成人男性で420-554万個、成人女性で384-488万個程度で血液の体積のおよそ4-5割程度が赤血球の体積である。標準的な体格の成人であれば全身におよそ3.5-5リットルの血液があるため、体内の赤血球の総数はおよそ20兆個であり、これは全身の細胞数約60兆個の1⁄3である。体内の細胞にくまなく酸素を供給するために膨大な数の赤血球が存在する。骨髄では毎日2000億個弱程度の赤血球が作られているが、その寿命は約120日で、1日で2000回前後、120日の間におよそ20-30万回に渡って体を循環して酸素を供給している。・・・・ミトコンドリアを持たないため、細胞の活動に必要なエネルギーは嫌気性解糖系と呼ばれる酵素によって糖(グルコース)を分解して得る。・・・とあります。
血糖濃度はおよそ0.1%と言われています。体重が50Kgで血液量はおよそ4Kgほどであるので、血液中に必要な糖の量は4〜5g程度であると言われています。
この4〜5gが約1時間で消費されると言われているので、1日に必要な糖の量は100g前後であろうと思わます。
よく、糖質制限を推進している方々は、糖質は人体にとって必須栄養素ではないと言われます。必須栄養素とは、必須アミノ酸、必須脂肪酸など、人にとって欠かすことのできない物質でありながら、体で作ることができないものを言います。
では、体で作ることのできるものは、そもそも摂取しなくて良いのでしょうか?
作り出すにはエネルギーがいりますから、簡単に摂取可能なものをわざわざエネルギーを使って作り出す必要があるのか、このあたりもよくわかりません。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」・・・糖質制限に関しては、このことわざが肝要かと思われます。