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古典的生体概念1(西洋編)

古代から近代にかけての西洋での人体における生気的概念をまとめてみました。

①ヒポクラテスHippokratesの云う自然治癒力Vis medicatrix naturae
ヒポクラテスは言うまでもなく、ギリシャ、コス島の医師であるが、彼がその直観により見極めた自然に癒す力とは現代までも脈々と受け継がれる医の基本概念である。彼は人体に宿る超自然的な力により、人が病魔から逃れると考えた。病気に犯され、死ねば朽ち果てるが、初めから死んでいる動物の肉は放っておいても腐ってしまう。人がその状態にならないのは生きており、生きていることに特別の力があるためであると感得しても不思議ではないであろう。その意味で自然治癒力とは生命の持つ能力のひとつであるといえる。

②パラケルススParacelsusの云うアルケウスArchaeus原力
Arche-は「起源」「原始」をあらわす接頭語。
精神的根元、世界の生成、生活過程、人間の身体等すべてのものがこれに帰せられる。肉体過程を統轄し、支配する精神力。精神の力は古くプラトンにまで遡れ、おそらくそれ以前から考えられていた概念であろう。イデアはアイデアと同じ言葉であり観念、理念などと訳されるが、人と動物との最大の相違点であり、人の人たる由縁である。パラケルススは、ルネサンス期のドイツの錬金術師であり、医師であり、哲学者であった人で、その名前は古代医術の大家ケルススを超えるという意味で、本名はテオフラテスheophrastusである。鉱物から梅毒やペストの薬を調合したり、排膿法を考案したりして医師としての名声を得た。魔術は信じていなかったが、万物に宿る魔術的力というものは信じていた。その基たる概念がアルケウスであろう。この原力という概念はパラケルスス以前にヴァランタインValentineが唱えていたということである。

③アントン・メスメルFrabnz Anton.Mesmerの云う動物磁気Mesmerismus
メスメルはオーストリアの医師で、神学を学んだのち医師となり、相離れた物体間に作用する磁気の概念と人間の生命に遊星が影響を及ぼすという占星学の見解に注目し、動物磁気説を唱えた。
これは人体は遊星の影響のもとにあり、宇宙に満ちているガスの一種である動物磁気の作用を受けており、人体内部でこの磁気の配分がうまく保たれていると健康であり、適当でないと病気になるというもので、治療者はこの動物磁気を患者に流し込むことで疾病を治療できるとした。
治療法はビン、鉄粉、ガラス片の入った水桶の四方から鉄棒を出し、患者はこれにつながるようにすることで動物磁気を体内に流入させるというものである。
この治療法な1778年パリで熱狂的な人気を得たが、1784年ルイ14世の命による調査委員会により否定的見解が出され、禁止された。しかし、そののちもパリでは民間において大いに行われた。
1842年、英国のJ.Braidは磁気説は否定し、催眠なる語を提唱し、凝視法と言語暗示でメスメルの現象は生じることを証明した。

④スタールStahlの云うスタール精Anima Stahliana
動物活素。Animaとは霊、精神、精気と言う意味であるが、万有の意識的不死の精神が生活現象を支配するという概念からきており、スタールはその元となる活素をスタール精と呼んだ。これは精子主体論でもあり、卵子は精子の発育に必要な栄養物であるという男尊女卑的概念からきている。単一固体である卵子ではなく、多細胞性の液体である精子に生命の原理が隠されていると言う概念である。

⑤カール・フォン・ライヘンバッハK.v.Reichenbach男爵の云うオードOdの力
化学的発光Chemilumineszenzと記されている文献もあるが、磁力により神経系に働くと仮定される力と記されている文献もある。

⑥サミュエル・ハーネマンHahnemannの云う生命力Vitaliat
生気論の基となった概念。ホメオパシーの創始者であり、マラリアの特効薬キニーネの発見者でもあるハーネマンは、毒を以て毒を制する人体における潜在的能力を称して、生命力と言った。
Vitaとは生命、生存、生活を表す語で、ビタミンの語源でもある。現代においても生命徴候をVital signという。

⑦ウィルヘルム・ライヒWilhelm.Reichの云うオルゴンエネルギーorgan energy
ライヒは性的エネルギーに人体の基本的力が秘められているとし、オルゴンエネルギーと言う宇宙エネルギーはその源であり、オルゴン治療器によるオルゴン治療はすべての性障害を治すということになっている。ライヒは肉体に影響を与えるオルゴンエネルギーと精神に影響を与えるオルゴンエネルギーを区別しており、そのための治療機械を作成した。ライヒは変人であり、もともと精神科医であったが、精神障害を持っていたと言われ医学会では完全に無視され、いんちきであるとされた。

⑧バン・ヘルモントVan.Helmantの云う宇宙磁気
アルケウスと同じ様な概念であり、当時流行であった磁力と原力を合体させたような概念である。

⑨ガルバニGalvaniの云う生命電力
ガルバニは動物電気の証明者で、現在もその名は使われている。ガルバニはボルトと異なり、生体内の電気を生命の源と考えていたようである。

⑩テスラTeslaの云うオーラaura
オーラはラテン語で風、香気、輝きを意味し、人体から発する霊的な放射体=アストラル体である。
テスラはこれを科学的に取り出せると考えていたようである。

⑪ブロンドローBlondlot.Prosper.Reneの云うN光線
人体から発する放射線。波長の短い光線で、その照射により物体を発光性と成すもので、発光体、磁場等から発散される。Nanceに在住した関係上N-raysと呼ばれる。

このように色々な生気的概念が生まれてきましたが、東洋のもののように根付くことはありませんでした。

次回は西洋だけでなく、様々な国、民族の超自然的エネルギー体の観念を見てみたいと思います。