時々、テレビなどで高齢者が足腰を強くするために散歩している姿をみますが、医師でも高齢者はももを上げて着地は足裏全体で行うべきという者もいます。
しかし、人体の歩行システムはそのようにできていないと思います。
そもそも、人体の重心線はくるぶしの前を通っているため、通常後面の筋肉でバランスをとって静止立位を保っています。
そのため、一歩踏み出すためには後面の筋肉の緊張がゆるまって、前方に倒れる力を利用して足が前に出るわけです。
膝の関節は下側の下腿骨部分が平らで、上側の大腿骨部分は球状になっています。しかも、それは左右二つの面を持ち、それぞれ形状が異なりますが、これは荷重を常に分散するためであろうと思われます。同様に足関節も左右から挟まれ柔軟な可動域を持っています。股関節は大腿骨は球形で骨盤は凹面になっておりソケットのような構造になっています。
これらの形態はネット状にたくさん画像がありますので、気軽に見ることができると思います。
では、これらの関節にとって一番問題になることは何かと言えば、特定の軟骨部分に荷重がかかり続けることだと思われます。
おそらくは、このような状態が維持され続けることで関節が変形していってしまうのだと思われます。
では、ももを上げて歩くことのどこが問題かといえば、足が着くときに膝関節にもろに衝撃が入ってしまう点です。
歩行時には常に重心が移動し、関節面の同じ場所に荷重がかかり続けられないようになっているはずです。
このような歩行で最も膝関節に衝撃が入りやすいのは階段を降りる時と思われます。
同じ階段を降りる時でも、若い時は滑らかに降りていくことができますが、年齢とともにぎこちない降り方になり、膝関節や股関節、骨盤腰椎に衝撃が入りやすくなってしまいます。
これはひとえに重心の動きがせばまってしまうからです。
また、筋肉が伸ばされた状態で緊張しなければならない点も動きが難しくなる原因の一つです。
このような問題の原因は結局神経システムの適応範囲がせばまる点にあります、
世の中ではロコモティブシンドロームなどといって、筋肉や関節などの運動器にばかり目がいきがちですが、結局それらをきちんと統合して動かしているのは神経系です。
では、神経系は大小含めて約600を越える筋肉と約200の骨からなる関節群の状態を全て計算して支配しているのかといえば、おそらくそうではないと思われます。立位を維持するのであれば倒れないようにする重心状態を維持するために角筋群や関節群がそれぞれ必要な仕事をしていると思われます。
これはおそらく「創発現象」で、「創発」とは「部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される。(ウィキペディア創発より)」現象のことです。
このような状態であるので、突然の変化にも追従して倒れないことができたりします。もちろん、転んでしまうこともありますが。
こういった人体の本来持つ能力が十分に発揮できなくなるのは老化だけではなく、体を使っていない・・・神経系を機能させていないためであるのです。
カイロプラクティックは、このような病気とはいえない神経系の機能低下を賦活化させる力があります。
これは高齢者のみならず、スポーツ障害や産前産後などのおおきな人体の変化などにも対応できるものです。
そういったことに悩まれている方がおられれば、是非当オフィスにいらしていただければと存じます。