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職人技

我々、徒手療法を行なっている人間は、人体の微妙な問題を手で触ることにより見つけ出すことができます。
これは、ちょうど職人の方が機械より優秀だということと同じことなのです。
ワインの目利きであるソムリエも常人にはわかり得ないような微妙なテイストを嗅覚や味覚で感じ取ったりします。
人間の感覚は、このように非常に高度に洗練されていくものなわけです。
真に真っ平らな平面を作り出すのは機械より職人の方が優れていると言いますが、機械はその精度を越えて正確なものを作り出すことができません。
人間は修練によって、その精度を上げていくことができるわけですが、職人技というのはそれだけではないのです。
例えば、二つの金属の平面が互いに摺動する機械があったとしましょう。
当然、潤滑油が流れ込むわけですが、この平面がそれぞれ、非常に高い精度で平面であった場合、互いがくっついて離れない現象が起きます。これをリンギングと言いますが、このリンギングが起きると摺動がスムーズにいかず、摩耗が激しくなったり、高熱を発して変形したり、焼き付いたりします。
この平面に微妙な窪みをつけることで、潤滑油が少しだけ溜まり、なめらかな摺動になります。
これは摺動の状態や方向に合わせて、いくつものほんの小さな窪みをつける作業になり、こういうことは機械より人の手の方が圧倒的に優れているわけです。
ただ、一朝一夕でそれができるようになるわけでありません。
徒手療法も同じで、たくさんの人を触ることにより、精度が上がります。この時、何を触っているのか、どのように触るのが良いのかなど、前向きな修練が必要ですが、最も重要なのはセンスです。
これはある意味、生まれ持ったものなので、徒手療法にはやはり向き不向きというものがあります。

もう一つ、大事なことは人体に対する捉え方ですが、徒手療法を行なっている者の多くは武術や体術などの心得があることが多いように思います。
これも大事なことで、目に見えない身体の動きや感覚を捉えるには、こういった鍛練が有効だと思います。