重症急性呼吸器症候群SARS〈サーズ〉は、WHOがSARS封じ込め成功を発表した2003年以降数回の散発例はあるが、現在に至るまで新規感染報告例は無いということです。中東呼吸器症候群MERS〈マーズ〉は2019年においてもサウジアラビアにおいて14人が感染し、そのうち5人が死亡しておりますが、大規模な流行にいたってはいません。
NIID国立感染症研究所のHPによると現在、「ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1である。風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする。」とのことです。
加藤茂孝(ウイルス学者)による丸善出版株式会社HPの【コラム】新型コロナウイルスはどう落ち着くのか?では、「人に感染するコロナウイルスとしては7番目の発見であり、その内1-4番目は通常の風邪症状を示すウイルスに過ぎない(1番目は1965年発見)。その後、SARSコロナウイルスとMERS(中東呼吸器症候群;Middle East respiratory syndrome)コロナウイルスが見つかり病原性の高いヒト・コロナウイルスがあることがわかった。今回の新型は、病原性で言えば、両者の中間であろうと思われる。今回の流行が終息してみなければわからないが、来年以降はSARSの場合のように一度も現れないか、風邪コロナウイルスで病原性がやや高い5番目として落ち着くかもしれない。 」と述べられております。
免疫には自然免疫と獲得免疫がありますが、そもそも免疫についてすべてが解明されているわけではありません。獲得免疫の免疫グロブリンには、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類がありますが、この中でもIgDなどはその役割がよくわかっていないようです。
通常、細菌やウイルスに感染したとき、最初に作られる抗体が’IgMで、遅れてIgGが産生され本格的に免疫力がついていきます。
基本的に免疫グロブリンの基本的な形はY字型をしていますが、IgGは一つのY字型でIgMは通常5つのY字型が結合してできています。このIgMの複数のY字型の中で最も有効なものが選択的に産生されてIgGになるのではないかと思われます。抗体というものは体に良いばかりではなく、最近では悪玉抗体などと言われているものもありますが、昔から自己免疫疾患というものがあって、自分の作った抗体が自分の体を攻撃することもあるわけです。IgMが産生される時には色々な形のものが産生される可能性があり、その中にはウイルスに効果のないエラー抗体も含まれているはずです。一時、新型コロナウイルスが蔓延する以前の採血液から新型コロナウイルスの抗体が見つかったという報告があったりしましたが、免疫の多様性を考えれば決して不思議なことではないと思われます。以前のコロナウイルスに対する抗体のエラーがたまたま新型コロナウイルスの抗体と同じだったということではないでしょうか。
現在蔓延している新型コロナウイルスも、いたずらに感染を恐れるのではなく、感染しても重症化しない、つまり、ウイルスが過度に繁殖しないようにするだけの免疫力が人体にあれば、決して恐ろしいものではないと思われます。
免疫力は精神状態に左右されるとも言われています。それは免疫に関する物質と脳神経系の伝達物質などがよく似ていることなどからも推測されることであります。
ウィズコロナとか新しい生活様式とかいってますが、結局コロナウイルスとは昔から共存しており、我々が生活様式を変えるまでもなく人体の免疫力がそれらに打ち勝ってきたのだと思います。
必要なことは、無菌の温室のような社会構造を作るのではなく、病気に負けない身体を持つことが大事なのではないでしょうか?
また、感染症だからといってギスギスした社会にならないことも大切だと思います。
我々は、他者に思いやりをもって接し、本来自然の中で生きているということを自覚することが大切なのではないかと思います。
カイロプラクティックの精神もそこにあると思います。